ふと、甘い香りがした。
巡察の帰り道に一軒の団子屋があった。
『買っていくか?』新八がそう考えていると
「あれ?新八つぁん?」
「お?平助。お前なにやってんだ?」
平助がこちらに歩いてきた。
「おれは・・・ちょっと買い物」
「なんでぇ?土方さんの使いか?」
そう言うと少しバツの悪そうな顔をして
「いや・・。俺、今日非番だし、・・・団子でも買ってってやろうかと思ってよ・・・。」
「なんだ、お前もか?」
「「も?」って・・新八つぁんも?」
結局、二人でお団子を購入し、屯所へと歩いて行く。
「なんか千鶴ちゃんが来てから甘いもの食べること増えたなぁ~」
手に持つ団子を見て新八が言った。
「そうだよなぁ~。それまでは近藤さんか島田さんくらいしか買って来なかったよな?」
「ってことは何か?俺はその分、前より酒を飲む量が減ってるってわけか?」
「はぁ?どんだけ千鶴に菓子を買ってるわけ?
っていうか、金無くたって借金やツケで飲んでるのは誰だってんだよ?」
ため息まじりに平助がつぶやく頃には屯所に帰ってきた。
新八は団子を平助に託してから土方の元に報告へと向かう。
平助はそのまま中庭へと向かった。
『あれ?さっきは中庭を掃除するって言ってたのに・・?』
想い人の姿が見えなくて辺りを見渡せば
廊下に腰を下ろしている総司と隊服のままの左之の姿があった。
「平助~千鶴ちゃんならいないよ?」
すぐに総司が声をかける。
「!!べ・・別にそんなんじゃ・・。」
「じゃあ、手に持ってるのはなんなんだ?」
左之に言われて慌てて隠すが、すぐに諦め
「・・。千鶴に買って来たんだけどさ~・・。あいつ、どっか出掛けたのか?」
「千鶴ならすぐ来るぜ?」
「??・・あいつ何かやってんのか?」
「うん。僕と左之さんの為にお茶のおかわりをね。」
「なんだよ・・茶か・・・」
そこまで言ってふと気づく。
「おかわり?」
「うん。左之さんが平助と入れ替わりに帰ってきてね~」
だんだん嫌な予感がする平助。
「左之さんがお土産にお団子を買ってきてくれてねぇ~」
平助のことはおかまいなしに話す総司。
「ついさっきまで千鶴ちゃんと3人でお茶してたんだよね~」
予感的中にガックリと項垂れる平助。
「・・わりぃ~な、平助」
左之も気まずそうに言うと・・・。
「あれ?平助君?」
千鶴がやってきた。
斎藤と一緒に。
「あれ?一君も来たの?」
総司の声に斎藤を見れば
湯のみ4つと団子が一つのった盆を手にしていた。
「・・・千鶴に誘われてな」
顔色を変えずそのまま総司の横に腰を下ろし、左之と総司に茶を渡す斎藤。
お茶を受け取りながら総司は
「千鶴ちゃん。平助も千鶴ちゃんにお団子買ってきたんだってさ~」
「え?そうなの?」千鶴が平助を見て問う。
「っと・・・まぁ・・・」
バツが悪そうに言う平助に千鶴は
「ありがとう平助君!待ってて!すぐにお茶入れてくるから!」
言うなり小走りに茶を用意しに行ってしまった。
「良かったね。平助君。ってことでお団子頂戴♪」
手を出して催促する総司。
「あれだけ食ってまだ食うのか?総司」
呆れ顔の左之。
「一君は食べてなかったの?」
皿にのった団子を手に取った斎藤に平助が問う。
「あぁ。さっき千鶴に会って俺の分の団子があるからと茶に誘われてきたばかりだ。」
「一君も食べる?」
総司は平助から受け取ったお団子の包みを開けて斎藤の皿に団子を一つ乗せる。
少しすると千鶴が戻ってきた。
「お待たせ!平助君」
斎藤の横に座り茶を出す千鶴。
それまで立っていた平助も千鶴の横に腰を下ろして茶を受け取る。
「非番だったんでしょ?わざわざ買ってきてくれてありがとう!平助君」
さっきまで気まずかった平助も千鶴の声に笑みが浮かぶ。
「今度はさ、千鶴も一緒に買いに行こうぜ!」
喜んでくれる千鶴に気を良くして平助は誘った。
「なんだ?平助、抜け駆けか?」
左之のからかう声も今は気にしない。
みんなでのんびりお茶を飲んで楽しめればそれでいいやと思う平助であった。
食欲の秋。・・・のつもり。。。
何か忘れてる。。。
その頃、新八は・・・
「だいたいお前ぇは、いつも帰りが遅い!
それに今日は巡察中に団子屋に寄ってきたんだろ?匂いでわかんだよっ!!」
「・・・そ・・それは・・・」
「隊服着たままウロウロ店ん中入るなって言っただろうがっ!!」
「・・・・」
機嫌の悪い土方に雷を落とされ続けていた。
新八、団子を食い損なう の巻?

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